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杖にまつわる「みつえの3つの杖」御杖村に住もうよ

ある日、若い夫婦と子どもの3人家族が御杖村に引っ越してきました。夫の通勤には車で1時間以上かかりますが、御杖村の豊かな自然の中で暮らし、子育てをしてみたいと思ったのです。
都会で生まれ育った家族にとって、御杖村での生活は新鮮なものでした。はじめは他所から来た「お客さん」のように接していた村民たちも、清掃活動や常会活動、地域の祭りなどのイベントに積極的に参加する家族をすぐに受け入れてくれました。都会で暮らしていた頃には近所付き合いなどほとんど無かったため、戸惑いながらも楽しんで参加していたのです。

心配していた田舎暮らしもそれほど不便ではありませんでした。トイレは合併処理浄化槽が設置されているし、携帯電話も村内のほとんどの場所で通じます。買物は週末にまとめて済ませることができるし、簡単なものなら近くの商店で揃いました。村内をコミュニティバスが走っており、移動も不便を感じるほどではありませんでした。

小学校は1学年1クラスで、みんなが仲良く、子どもはのびのびと育っていきました。都会で育った自分たちよりも、健康でたくましく、やさしく育っているように感じます。

御杖村に住み始めて1年が過ぎた頃、夫婦に2人目の子どもができました。健診や出産は近隣のまちの産婦人科まで行かなければなりませんでしたが、周りの協力もあって、安心して出産することができました。また、地域のみんなが「子育ての先輩」として協力してくれました。

子どもが中学3年生になると、高校進学について考えなければならなくなりました。御杖村には高校がありません。一人暮らしをするか、一緒に引っ越すか、御杖村から通学するか。夫婦は子どもに選ばせました。子どもは「御杖村に住み続けたい」と言いました。父親の通勤時に車で最寄駅まで送り、電車やバスを乗り継いで通学することになりました。子どもは3年間、自宅からの通学を続けて卒業しました。

子どもが大学進学のために都会で一人暮らしをすることになりました。自分たちのもとを離れることは不安でしたが、やりたいことを見つけてほしいと送り出しました。

4年後、子どもは御杖村に戻ってきました。農業生産法人で「御杖ブランド」の農産物を開発したいという理由でした。大好きな御杖村をもっと全国の人に紹介し、村も潤ってほしいと考えたのです。下の子どもは高校から村外で一人暮らしをしています。それぞれの選択があって良いと思いました。

数年後、上の子どもは結婚し、ほどなく孫が生まれました。下の子どもは東京の会社に就職しましたが、毎年お正月にはたくさんのお土産を持って御杖村に帰ってきます。

夫婦は、すっかり御杖村民になりました。退職後の楽しみは孫と遊ぶことと畑仕事、自然環境を守る活動団体や子どもたちの見守りパトロールにも参加しています。長寿の村なので、夫婦は地域の中では「若手」です。地域の課題にみんなで知恵を絞り、汗をかいて取り組むことで、地域が少しずつ良くなっていくことに達成感を覚えます。

御杖村は「杖の村」として密かな人気を呼んでいます。田舎暮らし体験や、農山村・自然体験等、都会の暮らしで丌足しているものが御杖村にはあります。また、「御杖ブランド」の農産物もおいしくて安全だと評判になり、インターネット販売を含めて全国に流通しています。「みつえ温泉 姫石の湯」は訪れた人を癒すだけでなく、村民の憩いの場としても賑わっています。伊勢本街道のまち並みは歴史的にもその価値が認められ、村民の協力のもとで保存・活用が進んでいます。村には家族が引っ越してきた頃よりも活気があふれています。

引っ越してきた頃に読んだ広報誌の記事で御杖村のむらづくりについて、こんなことが書いてありました。

『御杖村に3つの杖の魔法をかけます。
1つ目は「やすらぎの杖」の魔法。住んでいる人が安心して生活できるようにするための生活環境整備や保健・医療・福祉面などを充実するものです。
2つ目は「魅力の杖」の魔法。観光客を呼び込んだり、農林業等の産業を活性化するものです。
3つ目は「自律の杖」の魔法。行政組織としての自立と地域の村民の自立、これを合わせた御杖村全体の「自律」に向けた協働を促進します。』

そのときには読み流していましたが、自分たちはそんな魔法に誘われてやってきたのではないかと考えることがあります。同じように御杖村に魅力を感じ、新たに村に移り住む人やUターンしてくる人も増え、今月の広報誌には「人口が増加に転じました」と書いてありました。

子ども夫婦と孫は御杖村の他の家に住んでいるので、夜は夫婦2人で静かに過ごします。
ある日、妻が夫に言いました。「あの時、御杖村に住むことにして良かったね」

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